2025/3/3 | Vol.99<リース会計>2027年4月から本格導入される「新リース会計基準」とは? |
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2025/2/10 | Vol.98<相続時精算課税制度>申告書の提出漏れに要注意! |
2025/2/10 | Vol.97<確定申告>定額減税の適用漏れに要注意!! |
2025/1/23 | Vol.96<税制改正>大学生の扶養控除は年収103万円⇒150万円に拡大! |
2025/1/10 | Vol.95<iDeCo>令和7年度税制改正で掛金限度額を増額へ! |
2025/03/03
今回のテーマは、
『<リース会計>2027年4月から本格導入される「新リース会計基準」とは?』です。
このメールは1~2分程度で読み終わりますので、ぜひご覧ください。
2024年9月、企業会計基準委員会は、現行のリース会計基準の改正案として「新リース会計基準」を公表しました。
新リース会計基準の導入によって、企業の経理処理の複雑化や財務指標への影響などが懸念されるため、新基準の本格導入に向け、対象企業は慎重な対応が求められます。
□■━━━新リース会計基準の概要━━━■□
新リース会計基準とは、2027年4月1日以後の連結会計年度や事業年度から導入される「リースに関する会計処理」のルールです。
新基準では、国際的な会計基準との整合性を図るために、これまでは賃貸借取引として処理していたリースも含め、原則として貸借対照表への計上が必要となります。
なお、新基準については、上場企業や大企業を中心に強制適用される一方で、中小企業などについては任意適用とされています。
□■━━━主な変更点と影響━━━■□
現行の会計基準では、リースは「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類して会計処理を行いますが、新基準では、借り手はこれらを区分することなく、原則としてすべてのリースを「使用権資産」と「リース負債」として計上します。
【現行のリース会計基準】
◎ファイナンス・リース
貸借対照表
・資産の部:リース資産
・負債の部:リース負債
◎オペレーティング・リース
オフバランス
「資産としての計上は不要」
【新リース会計基準】
貸借対照表
・資産の部:使用権資産
・負債の部:リース負債
この場合のリースには、不動産の賃貸借契約なども含まれるケースが多いことから、新基準の対象となる企業では、既存の契約内容の確認作業に追われることとなるでしょう。
また、オンバランス化が原則となることで、自己資本比率などの財務指標が悪化する可能性も考えられるため注意が必要です。
□■━━━まとめ━━━■□
2027年4月から本格導入される「新リース会計基準」により、これまでのリースの概念が見直され、会計処理も大幅に変更されます。
特に強制適用が予定されている上場企業や大企業では、新基準が始まる前に既存契約の精査が必要不可欠であるため、計画的な準備を心掛けましょう。
2025/02/10
今回のテーマは、
『<相続時精算課税制度>申告書の提出漏れに要注意!』です。
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令和5年度の税制改正により、生前贈与加算の対象が「3年→7年」に引き延ばされた一方で、「相続時精算課税制度」についても見直しが行われました。
改正によって相続時精算課税制度の利便性が向上したものの、改正後、初めての申告時期を迎える人が増加しているものと考えられるため、改めて必要な手続きを確認しましょう。
□■━━━令和5年度の改正内容をおさらい━━━■□
相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫が贈与を受けた場合に、累計で2,500万円までは贈与税が課されず、相続時にまとめて課税を行う制度です。
令和5年度の税制改正によって、相続時精算課税制度でも110万円の基礎控除が新設されました。
これによって、令和6年1月1日以後の贈与については、年間の贈与額から基礎控除額や2,500万円の特別控除額を差し引いた残額に対し、一律20%の贈与税額が課税されることとなります。
□■━━━年間110万円超の贈与は申告書の提出が必要━━━■□
初めて相続時精算課税制度を適用する場合には、贈与税の申告期限(令和6年分の贈与税の場合、令和7年3月17日)までに「相続時精算課税選択届出書」を提出しなければなりません。
また、年間の贈与額が基礎控除額の110万円以下であれば、贈与税の申告書は不要ですが、110万円超の場合には申告書の提出も必要となります。
万が一、申告書の提出を失念し、期限後申告となった場合には、2,500万円の特別控除額を控除できなくなってしまうため注意しましょう。
□■━━━まとめ━━━■□
令和5年度の税制改正により、相続時精算課税制度にも110万円の基礎控除が導入されました。
利用者の拡大が見込まれるなか、適用初年度にはミスの増加も懸念されるため、慎重かつ正確な申告手続きを心掛けましょう。
2025/02/10
今回のテーマは、
『<確定申告>定額減税の適用漏れに要注意!!』です。
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2025年が始まり、今年も確定申告のシーズンが近づいてきました。
個人事業主やフリーランスをはじめ、確定申告書を提出する人も多いでしょうが、確定申告の際には定額減税の適用漏れがないように注意しましょう。
□■━━━定額減税のおさらい━━━■□
定額減税は2024年限定の制度であり、所得税3万円と住民税1万円の合計4万円が減税されます。
同一生計の配偶者や扶養親族がいる場合には、それらの家族分もまとめて控除されるため、家族構成によっては控除額が大幅に増加することとなるでしょう。
給与所得者の場合、2024年6月以降の給与から月次減税が行われており、年末調整を通じて正式な減税額が計算されます。
一方で、個人事業主やフリーランスは、所得税の確定申告の際に定額減税を適用することとなります。
なお、住民税については2024年6月以降の納税額から控除されています。
□■━━━確定申告書の記載欄━━━■□
確定申告を行う場合には、定額減税に関する内容を正確に記載する必要があります。
具体的には、以下の2つの項目について忘れずに記入しましょう。
確定申告書 第一表
㊹欄の「令和6年分特別税額控除」に、定額減税の対象となる「人数」と「減税額」を記入します。
▼詳しくはこちら
国税庁『令和6年分所得税及び復興特別所得税の手引き』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2024/pdf/001.pdf
確定申告書 第二表
同一生計の配偶者や扶養親族の分の定額減税を受ける場合には、「配偶者や親族に関する事項」欄に、その配偶者や扶養親族の基本情報を記載したうえで、「その他」の欄に定額減税の対象者であることを表す「2」と記入します。
▼詳しくはこちら
国税庁
『令和6年分所得税及び復興特別所得税 申告書 第二表【令和6年分以降用】』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r06/01.pdf
□■━━━まとめ━━━■□
2024年分の確定申告書を作成する際には、定額減税の適用漏れがないように細心の注意を払う必要があります。
特に手書きで確定申告書を作成する場合には、記入漏れのリスクも高まるため、記入すべき欄をしっかりと確認しましょう。
2025/01/23
今回のテーマは、
『<税制改正>大学生の扶養控除は年収103万円⇒150万円に拡大!』です。
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2024年12月20日、自民・公明両党は「2025年度税制改正大綱」を公表しました。
以前から世間の関心を集めていた「年収の壁」問題について、いくつか改正内容が盛り込まれましたが、現時点では国民民主党が主張していた178万円には達しておらず、今後も議論を継続するとされています。
それに対し、19~22歳の扶養控除については年収の壁が大幅に拡大されており、大学生の子を持つ家庭にとってはメリットの大きい改正といえるでしょう。
□■━━━大学生は年収103万円⇒150万円の壁へ━━━■□
これまで、扶養控除の対象となるのは「給与年収103万円以下」とされていましたが、今回の税制改正によって「特定親族特別控除」が新設され、19歳から22歳までの扶養親族については、2025年以降は「給与年収150万円以下」に引き上げられます。
主に大学生の子などがこの特定親族特別控除の対象となり、年収150万円以下であれば、これまで通り扶養控除を受けることができます。
今回の改正により、多くの大学生がより多くの収入を得ながら、親としても扶養控除の恩恵を受け続けることが可能となります。
□■━━━「150万円の壁」を越えても一定の控除は受けられる━━━■□
さらに「特定親族特別控除」では、年収150万円を越えた場合でもすぐに扶養控除の額がゼロになるのではなく、超過するほど控除額が徐々に減少する仕組みとなっています。
そのため、万が一大学生の子が150万円を超えて働いた場合でも、親の税負担が急激に増加しないような制度設計といえるでしょう。
□■━━━まとめ━━━■□
2025年度税制改正大綱が発表され、注目を集めた「年収の壁」に関する改正内容が盛り込まれました。
19~22歳の扶養控除については、年収150万円にまで範囲が拡大されることで、大学生がより多く働ける環境となります。
一方で、税金計算はますます複雑化しており、今後の年末調整手続きにも少なからず影響が及ぶことでしょう。
2025/01/10
今回のテーマは、
『<iDeCo>令和7年度税制改正で掛金限度額を増額へ!』です。
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節税対策や老後に向けた資金準備の観点から利用されるケースの多い「iDeCo(個人型確定拠出年金)」ですが、政府は来年度の税制改正で掛金限度額の引き上げを検討しています。
□■━━━掛金限度額の引き上げ案━━━■□
iDeCoとは、公的年金を補完するための資産形成を支援するための制度で、老後資金の準備に用いられる私的年金制度です。
掛金拠出時には全額所得控除の対象となるだけでなく、その運用益は非課税とされており、給付金を受け取る際にも退職所得控除や公的年金等控除の対象となるため、節税メリットが期待される制度といえるでしょう。
税制改正に向けて掛金限度額の拡充が検討されており、具体的には下記のような引き上げ案が挙がっているようです。
<DB(確定給付年金)・企業型DCに加入している会社員>
現行:月額5.5万円-他制度の掛金(2万円が上限)
改正案:月額6.2万円-他制度の掛金
<DB(確定給付年金)・企業型DCに加入していない会社員>
現行:月額2.3万円
改正案:月額6.2万円
<自営業者等やフリーランス>
現行:月額6.8万円
改正案:月額7.5万円
<専業主婦(主夫)>
現行:月額2.3万円
改正案:月額2.3万円
□■━━━出口戦略が「増税」される可能性も━━━■□
iDeCoの掛金限度額が引き上げられることで、節税効果もますます高まり、制度利用者の拡大が見込まれます。
しかし、その一方で退職金課税の強化については、たびたび国会でも議論されており、将来的に退職金に対する増税が行われれば、iDeCoの給付金を受け取る際の「出口戦略」にも大きな影響を及ぼしかねません。
現行の税制に対する理解はもちろんのこと、将来の税制改正による増税リスクについても念頭に置いたうえで、制度を利用すべきかどうかを判断しましょう。
□■━━━まとめ━━━■□
利用者が拡大するiDeCoについて、令和7年度税制改正では、掛金限度額の引き上げが検討されています。
掛金増額によってさらなる節税効果が期待される一方で、将来的に退職金課税が強化されるリスクについても知っておきましょう。